不動産の共有名義人の一人(被相続人)が死亡すれば、その持ち分は被相続人の法定相続人が法定相続分に従って相続することになります。

不動産の共有名義人の一人が死亡した場合の相続手続は、大きく分けて、①各法定相続人が自身の法定相続分を共有持分として不動産登記をする方法、②法定相続人間で遺産分割を行うことにより相続手続を行う方法、の2つがあります。

①の方法によれば、他の法定相続人がいたとしても、その者の意向と関係なく自分一人で不動産登記をすることができます。
しかし、法定相続人の数だけ共有者が増えることとなり、不動産の権利関係が複雑になってしまうため、実際には②の方法によることがほとんどです。

遺産分割については、法定相続人全員が合意しなければ遺産分割協議を成立させることができず、話し合いがまとまらないような場合には家庭裁判所に遺産分割調停などを申し立てて解決を求めることとなります。

また、不動産の共有名義人の一人が死亡した場合に、単独名義に変更するにはどうすればよいか?という問題があります。

この点、他の共有持分を有する者が被相続人の法定相続人を兼ねている場合には、その者が被相続人の共有持分を取得するという内容で遺産分割の内容をまとめることができれば、単独名義に変更することが可能となります。

また、他の共有持分を有する者が被相続人の法定相続人ではない場合には、その者には相続権がなく遺産分割に参加することができません。
そのため、法定相続人全員、または、遺産分割により共有持分を取得した者から被相続人の共有持分を買い取らなければ、その者の単独名義に変更することができません。