遺産分割の調停も審判も、弁護士に依頼した場合には、基本的に、弁護士のみが家庭裁判所に出頭することも可能であり、当事者本人の出頭は義務的なものではありません。
遺産分割の調停は、家庭裁判所で、調停委員を介して当事者の話し合いにより手続が進められますが、弁護士に依頼した場合には、原則として弁護士のみの出頭で足り、本人が出頭することは義務的ではありません。
例えば、単に相手方が感情的になって協議がまとまらなかったために、遺産分割の調停を申し立てたという場合などであれば、弁護士だけの出頭で足り、当事者本人が出頭して話をする必要はないでしょう。
もっとも、調停での話し合いを進めていく中で、背景事情の詳細な説明をすることや、柔軟な解決方法を探っていくことが必要となることが見込まれるときは、その場で、当事者本人が説明をしたり、解決方法に関する決定をしたりする方が、手続がスムーズになると言えます。
このようなときには、弁護士だけでなく、当事者本人も家庭裁判所に出頭するのが望ましいでしょう。
遺産分割の審判は、遺産分割の調停の手続を経てから行われることがほとんどであるため、すでに争点(争いのある事項)が整理されている状態から始まります。
そして、その争点に対して、当事者の書面での主張・立証を踏まえた上で、裁判官が判断を下すことになります。
このように、遺産分割の審判の手続では、当事者の話し合いではなく、当事者の主張・立証および裁判官の判断を中心とする手続です。
そのため、基本的に、弁護士だけが家庭裁判所に出頭することになり、当事者の出頭が必要となる場面は少ないです。
ただし、審理が進んでいくに従って、裁判官が、当事者本人から、特に話を聞く必要があると判断した場合には、当事者本人も家庭裁判所に出頭する必要が出てきます。