①その相続人の住所地を調査するか、②調査をしても行方が知れない場合には、不在者財産管理人の選任や失踪宣告の手続を踏むことで、有効な遺産分割を成立させることが可能となります。
遺産分割協議は、相続人全員で行わなくてはなりません。
相続人のうち一人でも欠けた状態であれば、他の相続人同士で遺産分割協議をしたとしても、その遺産分割協議の効力は無効になります。
そのため、再度、相続人全員で遺産分割協議をやり直す必要があります。
このことは、遺産分割協議の場合に限らず、裁判所の手続を利用する場合(遺産分割調停、遺産分割審判)でも同様です。
そこで、相続人の中に行方不明の者がいる場合でも、その相続人と連絡を取ることを試みて、遺産分割協議などに参加してもらう必要があります。
行方不明の相続人と連絡を取るためには、戸籍をたどっていって、その相続人の戸籍附票を取得して住所地を調べるという調査をする必要があります。
その相続人が調査した住所地に実際に住んでいるという場合には、手紙を送付するなどして、その相続人を含めた遺産分割の手続を進めていくことが可能となります。
もっとも、調査した住所地に手紙を送付したにもかかわらず、「あて所に尋ねあたりません」として送付した手紙が戻ってくるなど、本当に行方不明となっていて、何らの連絡も取れないような相続人がいるという場合もあります。
このような場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらう手続を申し立てた上で、その行方不明となっている相続人の代わりに不在者財産管理人を加えて遺産分割の手続を進めることになります。
また、行方不明となっている相続人が7年以上行方不明の場合には、家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行うこともできます。
裁判所が失踪宣告を出した場合には、その相続人は法律上死亡したものと扱われるため、他の相続人だけで有効な遺産分割を成立させることが可能となります。
もっとも、その失踪宣告が出された相続人に子がいる場合には、その子は代襲相続人となるのため、遺産分割に関与させなくてはなりません。