被相続人が遺言書を残していた場合、遺言の執行、つまり、遺言の内容を実現させる必要があります。
遺言の執行については、遺言執行者が選任されているかどうかによって、手続きが異なります。
遺言執行者を選任する方法は、①遺言書で指名する方法、②遺言書で遺言執行者を選任する者を指名する方法、③家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらう方法が、あります。
遺言執行者が選任されていない場合
遺言執行者が選任されていない場合には、相続人や受遺者が遺言の内容を実現する必要があります。
もっとも、この場合には、相続人全員で手続きを行わなくてはならないため、極めて煩雑です。
また、相続人間で利害が対立する場合には、スムーズに遺言の内容が実現されません。
そのため、遺言執行者が選任されていない場合には、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうのが適当です。
遺言執行者が選任されている場合
遺言執行者が選任されている場合には、遺言執行者が相続人全員の代理人として、遺言の内容を実現します。
そして、遺言執行者による遺言の執行を妨げた場合には、その行為は無効になります。
遺言執行者の主な業務としては、
・遺言執行者に就任したことの通知
・遺産の調査、管理及び財産目録の作成
・子どもの認知の届け出、相続人の廃除や廃除取消しの申立て
・遺言執行の妨害者の排除
・預貯金の解約・払戻、不動産や株式等の名義変更、遺産の換価
・遺産の分配
などが挙げられ、これらの業務が完了したら、相続人にその旨を告げることですべての業務が完了します。
なお、子どもの認知の届け出、相続人の廃除及び廃除取消しの申立てを行う場合には、遺言執行者の選任が必要になります。
このように、遺言執行者の業務の範囲は広く、かつ、多大な労力を要します。
そのため、遺言執行者の選任にあたっては、専門家である弁護士、特に、遺言書の作成を依頼した弁護士を選任すると遺言の執行がスムーズになるでしょう。