1 背景

被相続人には配偶者および子がなく、半年以上前に亡くなりましたが、家族とは疎遠でした。
そのため、相続人である母は財産・負債の状況を把握しておらず、遺産分割や相続放棄の手続をとっていませんでした。
その後、被相続人の勤務先から母のもとに、勤務先が立て替えた社会保険料等を精算してほしいという連絡がありました。
なお、被相続人の父および祖父母は、すでに亡くなっていました。

2 当事務所の活動と結果

被相続人の母は、債務超過であろうと考え、被相続人の兄弟とともに、相続放棄の手続について、当事務所にご相談に来られました。
当事務所の弁護士は、3か月経過後であるけれども被相続人との関係性などからすれば相続放棄が可能であると考えられること、相続放棄をすれば勤務先が立て替えた社会保険料等の精算を免れられること、などをご説明いたしました。
そして、被相続人の母および兄弟から、相続放棄の手続をご依頼いただきました。

当事務所の弁護士は、ご依頼後速やかに戸籍謄本類を収集し、被相続人の母の相続放棄申述書を作成しました。
そして、「被相続人との関係性などからすれば、相続放棄が3か月経過後となったのには正当な理由がある」旨の趣旨を説明する書面を作成し、相続放棄申述書に添付して管轄の家庭裁判所に提出しました。
その後、2週間ほどで、家庭裁判所から、被相続人の母の相続放棄を受理する旨の相続放棄申述受理通知書が届きました。

次に、被相続人の母の相続放棄により相続権が被相続人の兄弟に移ったことから、当事務所の弁護士は被相続人の兄弟についても管轄の家庭裁判所に相続放棄申述書などの提出を行いました。
そして、1週間ほどで、家庭裁判所から、被相続人の兄弟の相続放棄を受理する旨の相続放棄申述受理通知書が届いたことにより、相続人全員の相続放棄手続が完了しました。

3 所感

ご遺族が被相続人と疎遠であるために、被相続人の財産・負債の状況を把握しておらず、遺産分割や相続放棄の手続がとられていないというケースも少なくありません。
そして、被相続人が亡くなってから、何らかのきっかけで被相続人に負債があることなどが判明し、対応をご相談に来られる方がしばしばいらっしゃいます。

相続放棄は、原則として、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所で手続を行う必要があります。
しかし、本件のように3か月以内に相続放棄の手続を行う機会を逸してしまったことに相応の理由がある場合には、適切に対応することにより3か月経過後でも相続放棄が受理される可能性があります。

当事務所では、3か月経過後の相続放棄の事案について、解決実績と経験が豊富にございます。
相続放棄についてお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

4 お客様の声

親身な対応、分かりやすい説明、スピード感もあり、大変満足しております。

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