1 背景
80代の女性(お客様)から、遺産分割協議についてのご相談をいただきました。
お客様の夫(被相続人)が死亡し、お子様や夫の両親もすでに亡くなっていたため、相続人は妻であるお客様のほか、夫の兄弟姉妹や甥姪を合わせて8名でした。
被相続人の兄弟姉妹、甥姪は、お客様との面識がほとんどなく、一部の相続人が青森県から離れた地域に住んでいることもあって、連絡が取りづらい状況が続いていました。
また、そのうち1人の相続人は、介護施設に入所して別の相続人が財産をすべて管理しているという環境にあったため、施設にいる相続人を含めて遺産分割の内容について合意をする必要がありました。
遺産分割の対象は被相続人の預貯金約2400万円であり、お客様の法定相続分が4分の3、被相続人の兄弟姉妹・甥姪の法定相続分が合計で4分の1でした。
お客様は、他の相続人と連絡が取りづらい状況であり、介護施設に入所している相続人もいることから、どのように遺産分割協議を進めていくのか分からず、ご自分では対応が難しいとのことで、当事務所にご依頼いただきました。
2 当事務所の活動と結果
当事務所の弁護士は、ご依頼を受けた後、戸籍謄本類を収集して相続人を調査の上、被相続人の兄弟姉妹・甥姪の一人一人に対し、遺産分割協議を行う旨の郵便連絡をしました。
本件のように、子がおらず、親もすでに亡くなっているという方が死亡した場合、相続人は配偶者及び兄弟姉妹・甥姪となり、人数が多くなるため、協議が複雑になりがちです。
また、本件では施設に入所して外部の第三者が容易に連絡を取れない相続人もいるため、その相続人を含めてどのように協議を成立させるかという問題もありました。
当事務所の弁護士は、相続人各自に連絡を取った後、速やかに法定相続分による遺産分割の合意を取り付けて、施設に入所している相続人に対しても接触を試みました。
しかし、案の定、施設から面会を拒絶され、身元引受人となっている他の相続人の同意がなければ面会すらできない状況であり、その身元引受人の協力の上で遺産分割協議を成立させることとなりました。
そこで、その身元引受人となっている相続人の協力を得て、暫定的な遺産分割協議書を施設に入所している相続人に対し示し、その内容で問題がないことの意思を確認した上で、相続人全員の合意を得て遺産分割協議を成立させることができました。
これにより、お客様は、約1800万円の預貯金を取得することに成功しました。
3 所感
相続人の人数が多く、当事務所の弁護士が直接には接触できない相続人もいたため、通常よりも手間がかかりましたが、お客様のご希望通りの解決にこぎつけました。
この結果に、お客様は大変満足しておられました。