1 背景
80代の男性(お客様)から、子(被相続人)の相続を希望しないため相続放棄の手続きを弁護士に任せたいとのことで、ご相談・ご依頼をいただきました。
お客様は、先順位相続人である相続人(お客様からすると孫)が全員相続放棄をしたことで、相続の順位が回ってきましたが、相続財産に負債が多いことから、相続放棄をしたいとのご希望でした。
なお、お客様は、相続財産を処分したり、隠匿したりしたことはないとのことでした。
2 当事務所の活動と結果
先順位相続人の方が相続放棄をしたのは半年以上も前のことであり、お客様の相続放棄の申述が可能かどうか危惧されました。
しかし、お客様から詳しく事情をお聞きしたところ、お客様が先順位相続人である孫から事情を知らされたのは、ご相談から数日前とのことでした。
申立ての期間に問題はなく、相続放棄でのご依頼をいただくことになりました。
ご依頼後、当事務所の弁護士は、速やかに戸籍謄本等の必要書類の収集に着手しました。
戸籍謄本等の必要書類がすべて揃ったあと、相続放棄申述書を作成し、必要書類とともに家庭裁判所に提出し、相続放棄の申述の申立てをしました。
その後、申立てから15日ほど経過すると、家庭裁判所から当事務所宛てに相続放棄申述受理通知書が送付されました。
3 所感
相続放棄は、相続が発生してから3か月以内ではなく、相続が発生したことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。
今回の事案のように、先順位相続人がいる場合には、その先順位相続人が相続放棄をした事実を知ってから3か月以内の申し立てが必要になりますので、注意しなければなりません。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得する必要がありますが、古く難解な戸籍を読み取って戸籍をたどることになります。
出生から死亡までの戸籍を収集する場合、結婚・離婚・転籍等により、各地の役場に戸籍が点在することが多く、数か所の役場に戸籍謄本の交付を請求することになりますが、手間と時間を要する作業です。
このような事実関係の調査・複雑な手続きに対応するためには、専門的な知識と経験が不可欠ですので、相続放棄をお考えの方は、まずは弁護士へのご相談をお勧めいたします。