1 背景
80代の女性(被相続人の妻)から、2年前に亡くなった夫(被相続人)の遺産の相続について、ご相談がありました。
亡夫の遺産は、預貯金が2700万円余りで、不動産を加えると総額3800万円余りでした。
依頼者と亡夫との間には、子どもがおらず、法定相続人は、依頼者と亡夫の兄弟姉妹のほかに、亡夫の兄弟姉妹の子がおりました。
亡夫の兄弟姉妹の中には、すでに亡くなっている方もおり、その場合にはその子が法定相続人となります。
本件で、遺産分割協議の成立に向けて、依頼者が話し合いをしなければならない相続人は、8名おりました。
依頼者は、司法書士に依頼して戸籍謄本等を取り付け、相続人の調査自体は完了しておりました。
しかし、話し合いをしなければならない相続人が8名と多数で、遠方に住んでいる方もいたため、どうしたらよいか分からずに、時間だけが経過していました。
そして、自分だけで進めていくのは困難であると思い至り、弁護士に対応をお願いしたいとのことで、当事務所にご依頼いただくこととなりました。
2 当事務所の活動とその結果
当事務所の弁護士は、相続人8名に対して、遺産分割の話し合いを求める書面を送付しました。
そうしたところ、依頼者の単独相続に同意される方、代償金の支払いを希望される方、態度がはっきりとせずに返答に時間がかかる方、依頼者が単独取得することには同意するものの遺産分割とは直接は関係のない様々な懸念を伝えてこられる方など、相続人一人一人に様々な意向がありました。
そのため、当事務所の弁護士は、相手方である相続人一人一人の状況に応じて、適正な額の代償金額の提示、感情を逆なでしない程度に態度をはっきりとさせるようにとの催促の連絡、あるいは、何度も面談を重ねて遺産分割とは直接には関係しない事項についての説明を尽くすなどして、遺産分割協議の成立に向けて、粘り強く連絡や交渉を続けました。
その結果、最終的に、ご依頼から4か月ほどで、代償金の支払いを希望した相続人2名の方には適正な額の代償金を支払い(合計150万円)、そのほかの相続人6名は代償金の支払いなしで、依頼者が3650万円(遺産総額3800万円-代償金150万円)の遺産を取得する内容での遺産分割協議を成立させることができました。
そして、その後は速やかに、依頼者に代わって、依頼者単独名義への不動産登記の手配、預金解約の手続を行い、代償金を支払って、全ての相続手続を完了しました。
3 所感
当事務所では、たとえ相続人が多数であっても、相手方である相続人一人一人の状況に応じて粘り強く交渉を行い、協議による早期解決を目指して相続問題の対応にあたっております。
本件でも、相続人が多数のために、依頼者はどうしてよいか分からずに時間だけが経過していたところ、当事務所の弁護士がサポートすることで、ご依頼から4か月ほどで、スムーズに遺産分割協議を成立させ、不動産登記手続、預金解約手続等の手配・サポートをすることで、全ての相続手続を完了することができました。