親族が亡くなった場合、その遺族の方は、被相続人がどこの保険会社に加入していたかわからないという場合が数多くあるかと思います。
その結果、保険証券を発見できない場合には、保険金を受領できないということになりかねません。
このような事態を避けるため、生命保険契約照会制度というものが設けられましたので、ご説明いたします。
制度の概要について
1 どのような場合に照会できるのか
生命保険契約の有無を照会することができるのは、照会対象者が、ⅰ死亡した場合、ⅱ認知判断能力が低下した場合、ⅲ災害により死亡もしくは行方不明の場合、に限られます。
そして、照会にあたっては戸籍謄本や死亡診断書等の公的書類や医師による診断書が必要となります。
2 誰が照会することができるのか
次に、照会することができるのは、照会対象者が死亡した場合には、a 照会対象者の法定相続人およびその法定代理人または任意代理人、b 遺言執行人、となります。
照会対象者の認知判断能力が低下した場合には、c 照会対象者の法定代理人または任意後見制度に基づく任意代理人、d 照会対象者の任意代理人、e 照会対象者の3親等内の親族およびその任意代理人、となります。
照会対象者が災害により死亡もしくは行方不明の場合には、照会対象者の配偶者、親、子または兄弟姉妹およびその法定代理人または任意代理人、となります。
3 どのようにして照会するのか
生命保険協会に対して、郵送またはウェブサイトにて申請をすることになります。
なお、申請にあたっては、手数料として3000円の費用が発生します。
生命保険協会は、照会の申請があった場合、生命保険協会から生命保険協会に加盟している会社全社に対して生命保険契約の有無等の調査依頼をし、生命保険各社における調査結果を取りまとめた上で、照会申請者に回答することになります。
4 回答内容について
生命保険協会からの調査結果は、照会対象者の生命保険契約の有無のみであり、生命保険契約の種類や保険金額等の情報については、回答されません(ただし、照会対象者が死亡した場合については、照会者が保険金等を請求することができる場合に限っては、その旨も回答されます)。
そのため、具体的な生命保険契約の内容については、生命保険契約があると回答された生命保険会社に確認する必要があります。
(弁護士・下山慧)