民法および不動産登記法が改正されたことにより、令和6年度(2024年度)から相続登記が義務化されることになりました。
現在は、不動産の登記名義人が亡くなった場合、その不動産の相続登記を申請することが義務ではなく、いつまでに申請しなくてはならないという期限も設けられていません。
しかし、長期にわたって相続登記が放置されると、所有者が不明になり、その結果、相続関係が複雑になるとか、公共事業の実施や不動産売買ができなくなるなどの弊害が生じかねません。
そこで、法律の改正により、相続により不動産の所有権を取得した者は、相続の開始を知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義変更登記をしなくてはならないものとされました。
これは相続人が遺贈により所有権を取得した場合や、遺産分割によって所有権を取得した場合についても同様です。
この申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となります。
さらに、この義務は、法律が施行されて義務化される年より前に発生した相続についても対象になります。
そのため、相続により不動産の所有権を取得しているものの名義変更登記をしていない方は、原則として、法律が施行される令和6年度(2024年度)から3年以内に相続登記をしなくてはなりません。
しかし、中には、相続人が多数いるなどの事情で、なかなか遺産分割協議がまとまらず、所有者が確定するまでに時間を要する場合もあります。
そこで、改正された法律では、相続人であることを法務局に申告すれば相続登記をする義務を免れる「相続人申告登記」(仮称)という制度が設けられることになりました。
ただし、この制度は所有者が確定するまでの予備的な制度であるため、その後に遺産分割がまとまった場合には、遺産分割の日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
遺産分割協議や相続登記をしないままに、長年放置している方もいらっしゃると思いますので、これを機に遺産分割協議および相続登記を行うことをお勧めいたします。
当事務所では、遺産分割協議の代理業務および相続登記の手続き業務を取り扱っておりますので、まだ遺産分割協議や相続登記をされていない方はお早めにご相談ください。
(弁護士・下山慧)