被相続人がお亡くなりになったあと、面識のあるご遺族同士での遺産分割に関する話し合いが特に揉めることなくまとまり、不動産の相続登記を司法書士にご相談・ご依頼されたり、相続税の申告を税理士にご相談・ご依頼されたりするケースは少なくありません。
このようなケースでは、特に何事もなく不動産の相続登記や相続税の申告が完了することも多いのですが、ご依頼を受けた司法書士や税理士が戸籍謄本類を取り寄せて相続人調査を行ったところ、被相続人の婚外子や前妻との子がいることが判明することがあります。
遺産分割は、被相続人の婚外子や前妻との子を含めた相続人全員で行わなければなりません。
そして、不動産の相続登記や相続税の申告は、遺産分割協議の成立を前提に行うのが原則であるため、被相続人の婚外子や前妻との子を含めた相続人全員で、遺産分割の話し合いを改めて行わなければ、前に進めないという事態に陥ってしまうのです。
このように、司法書士や税理士への依頼中に被相続人の婚外子や前妻との子がいることが判明したケースでは、被相続人の婚外子や前妻との子とは面識がないことがほとんどであると思われます。
面識のない相続人との遺産分割の話し合いが改めて必要となれば、非常に困惑し、大きな不安を感じるのが通常ではないでしょうか。
そんなときは、まずは遺産分割に強い弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。
この点、ご依頼中の司法書士や税理士を頼りにしたいところかもしれませんが、相続人の方の代理人として、被相続人の婚外子や前妻との子と遺産分割の話し合いを行うことができるのは、法律上、弁護士の資格を持った者だけです。
司法書士や税理士の資格では、被相続人の方の窓口となって、代理交渉を行うことはできません。
ご自身の判断だけで被相続人の婚外子や前妻との子と遺産分割の話し合いを行うことには、大きなストレスや不安を伴うことが通常です。
また、先方に対して、いきなり遺産分割協議書を示してサインを求めたり、相続放棄の手続を取るように迫ったりすれば、先方の気分を害して紛争に発展し、なかなか遺産分割協議がまとまらないという事態に陥ることもあり得ます。
被相続人の婚外子や前妻との子など、面識のない相続人との遺産分割の話し合いを行う際には、通常の遺産分割協議とは異なる配慮が必要となります。
先方にも法定相続分があることを踏まえて、遺産分割の話し合いを慎重に進めていかなければなりません。
ここで対応を間違えてしまうと、感情のもつれから深刻な相続争いに発展してしまう可能性もあり得ます。
しかし、遺産分割に手慣れた弁護士を窓口とすることで、話し合いが円滑に進むケースが多いでしょう。
先方の立場も尊重して礼儀を尽くした交渉を行うことで、先方が遺産を受け取らないことで同意してくれたり、法定相続分よりも少ない金額で納得してくれたりすることも多々あります。
当事務所では、これまで、面識のない相続人がいる場合の遺産分割に関するご相談・ご依頼を多数お受けして、解決してきた実績が豊富にございます。
司法書士や税理士への依頼中に被相続人の婚外子や前妻との子がいることが判明した場合には、是非一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。
(弁護士・木村哲也)