「いつまでに遺産分割を終えなければならないという期限はありますか?」といったご質問をいただくことがあります。
法律上は、遺産分割には時効の定めがなく、いつまでに必ず解決しなければならないという期限はありません。
しかし、だからと言って、遺産分割を放置したり、あまり先延ばしにしたりすることは避けるべきであると言えます。
遺産分割の解決が長引いてしまうのは、相続人間の仲が悪かったり、揉めていたりすることなどが原因であることが多く、無理からぬところではあるのですが、実は時間が経てば経つほど、状況が悪化していくことが多いです。
例えば、相続人が被相続人の長男・次男・長女の3人であったとして、遺産分割の話し合いがなかなか進まないうちに長男が死亡するといったことも起こり得ます。
長男が死亡した時点で、長男に奥さんと子ども3人がいれば、この4人が遺産分割に加わってくることになります。
ただでさえ話し合いがまとまらないところに、さらにそれぞれの思惑を持った相続人の数が増えることで、問題が複雑化・深刻化していく可能性が高まるのです。
また、相続人が認知症にかかるなどして、遺産分割の話し合いができなくなることも起こり得ます。
遺産分割は、相続人全員が協議や調停・審判に参加しなければ、進めることができません。
相続人の誰かが認知症で意思表示ができない状況で、遺産分割を進めていくためには、その相続人に成年後見人を付けるための手続を裁判所で別途行わなければならなくなり、手間や費用の負担が増大してしまうのです。
以上を踏まえると、遺産分割の問題はできる限り早めに解決しておくべきであると言えます。
遺産分割の話し合いがなかなか進まずにお困りの方がいらっしゃいましたら、その対応策について、専門家である弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
その際には、お気軽に当事務所をご利用いただければと存じます。
(弁護士・木村哲也)