相談風景4

「いつまでに遺産分割を終えなければならないという期限はありますか?」といったご質問をいただくことがあります。
法律上は、遺産分割には時効の定めがなく、いつまでに必ず解決しなければならないという期限はありません。

しかし、だからと言って、遺産分割を放置したり、あまり先延ばしにしたりすることは避けるべきであると言えます。
遺産分割の解決が長引いてしまうのは、相続人間の仲が悪かったり、揉めていたりすることなどが原因であることが多く、無理からぬところではあるのですが、実は時間が経てば経つほど、状況が悪化していくことが多いです。

例えば、相続人が被相続人の長男・次男・長女の3人であったとして、遺産分割の話し合いがなかなか進まないうちに長男が死亡するといったことも起こり得ます。
長男が死亡した時点で、長男に奥さんと子ども3人がいれば、この4人が遺産分割に加わってくることになります。
ただでさえ話し合いがまとまらないところに、さらにそれぞれの思惑を持った相続人の数が増えることで、問題が複雑化・深刻化していく可能性が高まるのです。

また、相続人が認知症にかかるなどして、遺産分割の話し合いができなくなることも起こり得ます。
遺産分割は、相続人全員が協議や調停・審判に参加しなければ、進めることができません。
相続人の誰かが認知症で意思表示ができない状況で、遺産分割を進めていくためには、その相続人に成年後見人を付けるための手続を裁判所で別途行わなければならなくなり、手間や費用の負担が増大してしまうのです。

以上を踏まえると、遺産分割の問題はできる限り早めに解決しておくべきであると言えます。
遺産分割の話し合いがなかなか進まずにお困りの方がいらっしゃいましたら、その対応策について、専門家である弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
その際には、お気軽に当事務所をご利用いただければと存じます。

(弁護士・木村哲也)

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当事務所の弁護士が書いたコラムです。

No 年月日 コラム
34 R6.7.29 遺産分割調停は専門家に依頼するべきか?自分でやるべきか?(弁護士・畠山賢次)
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32 R6.6.24 兄弟姉妹に遺留分が認められない理由と遺産を受け取る方法(弁護士・荒居憲人)
31 R6.6.14 生前贈与に対する遺留分侵害額請求の請求方法と時効(弁護士・神琢磨)
30 R6.3.21 高齢の親の「囲い込み」問題と解決方法(弁護士・荒居憲人)
29 R6.1.30 自殺と相続放棄について(弁護士・木村哲也)
28 R5.2.13 遺産分割協議書を自分で作る場合に必要な項目や注意すべきポイントを解説(弁護士・神琢磨)
27 R4.10.6 兄弟姉妹同士で揉めがちな相続の争いについて弁護士が解説(弁護士・神琢磨)
26 R4.2.17 青森市に「青森シティ法律事務所」を開設しました。(弁護士・木村哲也)
25 R3.11.16 生命保険契約照会制度の創設について(弁護士・下山慧)
24 R3.10.12 法改正:土地所有権の放棄制度について(弁護士・畠山賢次)
23 R3.9.30 法改正:特別受益・寄与分の期限について(弁護士・下山慧)
22 R3.8.6 相続登記が義務化されます。遺産分割が済んでいない方はお早めにご相談ください。(弁護士・下山慧)
21 R2.6.2 最近の相続に関連する民法改正について(弁護士・畠山賢次)
20 R2.5.11 LINEでのビデオ通話による法律相談対応を開始しました。(弁護士・木村哲也)
19 R1.5.27 バックアッププランのご案内(弁護士・木村哲也)
18 H31.4.5 相続人調査・相続財産調査・負債の調査・公正証書遺言の有無の調査のご依頼について(弁護士・木村哲也)
17 H31.4.5 司法書士や税理士への依頼中に被相続人の婚外子や前妻との子がいることが判明した場合の遺産分割について(弁護士・木村哲也)
16 H30.10.3 高齢親の「囲い込み」の禁止命令が横浜地方裁判所で出されました。(弁護士・木村哲也)
15 H30.8.21 お盆期間中に相続に関する話し合いをされた方へ(弁護士・木村哲也)
14 H30.6.11 相続放棄は弁護士にご相談ください。(弁護士・木村哲也)
13 H29.9.20 遺言書を作成するときは、遺留分に配慮しましょう。(弁護士・山口龍介)
12 H29.6.30 法定相続情報証明制度について(弁護士・下山慧)
11 H29.5.26 続・遺産分割はお早めに(弁護士・木村哲也)
10 H29.4.26 船井総研の民事信託実務研修を受講しました。(弁護士・木村哲也)
9 H29.3.30 相続税の節税目的での養子縁組は有効かどうかが争われた裁判で、これを有効と認める最高裁判所の判断が示されました。(弁護士・山口龍介)
8 H29.3.21 不動産の遺産分割の方法について(弁護士・山口龍介)
7 H29.3.2 家族信託についてのセミナーを受講しました。(弁護士・山口龍介)
6 H28.12.26 相続における預貯金の取り扱いについて、従来の判例が変更され、審判で遺産分割できるとの判断が示されました。(弁護士・山口龍介)
5 H28.12.13 遺留分(遺留分減殺請求)の制度をご存知ですか?(弁護士・木村哲也)
4 H28.11.8 遺産分割はお早めに(弁護士・木村哲也)
3 H28.10.25 相続トラブルは一部のお金持ちに限った話ではありません。(弁護士・木村哲也)
2 H28.10.11 相続・遺言に関するご相談は初回無料です。(弁護士・木村哲也)
1 H28.9.28 相続サイト(このホームページ)の開設に当たって(弁護士・木村哲也)