相続人同士が不仲または疎遠な場合には、遺産分割を進めるにあたり不安や気苦労が大きいことでしょう。
このページでは、遺産分割において相続人同士が不仲または疎遠な場合の対処法について、ご説明させていただきます。
遺産分割協議の成立には相続人全員の合意が必要
遺産分割の協議(話し合い)を成立させるためには、相続人全員で合意することが必要となります。
相続人の一部を除いて合意したとしても、その合意は法的に有効ではありません。
このことは、相続人同士が不仲または疎遠であっても変わりはなく、必ず相続人全員を遺産分割に関与させなければならないのです。
そのため、相続人同士が不仲または疎遠な場合には、遺産分割を進めるにあたり不安や気苦労が大きくなりますし、話し合いをなかなか進められない原因になることも少なくありません。
不仲または疎遠な相続人との遺産分割協議
不仲または疎遠な相続人と遺産分割の協議を進める際には、以下のような事項が課題となることが多いでしょう。
住所の確認
不仲または疎遠な相続人は、簡単に会って話をしたり、気軽に電話をかけたりすることができないというケースも少なくありません。
そこで、郵便(手紙)のやり取りで話し合いを進めることが有力な選択肢となりますが、住所や(住所を聞き出すための)電話番号が分からない場合もあります。
そのような場合には、まずはその相続人の住所を調査しなければなりません。
被相続人およびその相続人の戸籍謄本類および戸籍の附票を取得し、その相続人の住民票上の住所を確認しましょう。
なお、他人の戸籍謄本類や戸籍の附票は取得できないのが原則ですが、相続手続において連絡先が不明などの事情があれば交付を受けることができます。
また、弁護士に遺産分割をご依頼いただけば、弁護士の職務上の権限により戸籍謄本類や戸籍の附票の収集が可能となります。
遺産分割の話し合い
上記のとおり、たとえ相続人同士が不仲または疎遠な場合であっても、相続人全員で合意に至らなければ、遺産分割協議を成立させることはできません。
そのため、不仲または疎遠な相続人にも遺産分割の話し合いを持ち掛け、合意の取り付けを目指すこととなります。
こちらが提案した遺産分割の内容について、その相続人が納得しないのであれば、丁寧な交渉と説得により合意の形成を図る必要があります。
スムーズに解決するためには、一定の譲歩をしたり対案を求めたりすることも検討するとよいでしょう。
遺産分割の話し合いについて不安がある場合や、ご不明点がある場合には、専門家である弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
なお、どうしても話し合いでの解決が難しければ、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることとなります。
相続人同士では解決が難しい場合の対処法
相続人同士が不仲または疎遠な場合、自分たちだけでは全員の合意形成が難しいケースが少なくありません。
また、不仲または疎遠な相続人に対して連絡を取ること自体に気が重く、遺産分割の話し合いに向けた対応をなかなか進められずにいる方もいらっしゃるかもしれません。
このように、相続人同士では解決が難しい場合には、次のような対処をするのがよいでしょう。
弁護士に依頼する
遺産分割についてお困りの場合には、弁護士に対応をご依頼いただくことをお勧めいたします。
弁護士にご依頼いただくことにより、他の相続人との交渉・連絡窓口を弁護士に一任することができますので、ご自身で対応することによる不安やストレスを大幅に軽減することができます。
面倒な戸籍謄本類・戸籍の附票の収集も、弁護士に任せることができます。
また、法律と交渉のプロである弁護士が遺産分割の話し合いを代理することにより、適正な解決を図ることが期待できますし、スピーディな対応も可能となります。
遺産分割調停を申し立てる
話し合いによる解決が困難な場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることとなります。
遺産分割調停は、調停委員の仲介のもとに相続人間で話し合いをし、遺産分割の合意の成立を目指す手続です。
調停を有利に進めるためには、法的な主張を的確に構成すること、その主張を裏付ける証拠資料を提出することが必要です。
法的な知識と経験がなければ、調停の手続に適切に対応することが困難ですし、調停委員を仲介者とする交渉も容易なものではありませんので、法律と交渉のプロである弁護士に依頼して手続に対応していくのがよいでしょう。
弁護士にご相談ください
遺産分割において、相続人同士が不仲または疎遠な場合の対処についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、当事務所にご相談ください。
当事務所では、これまでに、相続問題に関するご相談・ご依頼を数多くお受けして参りました。
相続人同士が不仲または疎遠な事案の対応経験・解決実績も豊富にございますので、ぜひ一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。