はじめに

ご家族・ご親族がお亡くなりになって、相続人になられた方はいらっしゃいませんか?
ご家族・ご親族がお亡くなりになるだけでも大変痛ましいことですが、死亡届の提出や葬儀、年金や健康保険関係の諸手続などへの対応に追われ、精神的にも肉体的にも大変なご負担であろうと存じます。
また、これらの事項と並行して、相続関係の手続にも取り掛からなければならず、不安を感じていらっしゃる方も多いと思います。
以下では、相続人になられた方がスムーズに相続手続を進めるためのポイントを整理させていただきましたので、参考にしていただければと存じます。

相続に関する調査

まずは、相続関係の調査です。
相続関係の調査には、主に相続人調査、相続財産調査、負債の調査、遺言の有無の調査があります。

相続人調査

相続人調査とは、戸籍謄本類を収集し、相続人を確定する調査のことを言います。
ほとんどのケースで、被相続人の死亡時の戸籍謄本だけではなく、被相続人の出生から死亡までの複数の戸籍謄本類や、相続人に関する複数の戸籍謄本類を取り寄せる必要があるため、非常に手間と時間のかかる調査であると言えます。

相続財産調査

相続財産調査とは、被相続人の遺産に関する調査のことを言います。
相続財産としては、預貯金、不動産、株式や投資信託など、様々なものがあります。
被相続人の遺品や被相続人宛ての郵便物、被相続人の同居親族の情報などから、相続財産を一定程度把握できることが多いですが、それが全てとは限りません。

預貯金については、金融機関に残高証明書や取引履歴の交付を申請することで、調査を行うのが通常です。
不動産については、登記簿謄本(法務局)や固定資産評価証明書(市町村役場)、名寄帳(市町村役場)の交付を申請することで、調査を行うのが通常です。
株式や投資信託については、証券会社に取引履歴の開示を申請することで、調査を行うのが通常です。
このような相続財産調査についても、非常に手間と時間のかかる調査であると言えます。

負債の調査

負債の調査とは、被相続人の借金に関する調査のことを言います。
被相続人の遺品や被相続人名義の通帳、被相続人宛ての郵便物などから、被相続人の負債の存在を把握できることもありますが、思わぬ多額の借金の存在が後々判明することもあり得ます。

そこで、JICCやCIC、全国銀行個人信用情報センターといった信用情報機関に被相続人の信用情報の開示を申請することで、金融機関等からの借入情報を調査するのがよいでしょう。
上記の3つの信用情報機関ごとに、必要となる書類や手続がありますので、負債の調査についても、手間と時間のかかる調査であると言えるでしょう。

遺言の調査

遺言の調査とは、被相続人が残した遺言書の有無の調査のことを言います。
公正証書遺言については、公証役場で「遺言書検索システム」による検索を依頼することによって、その有無を調査することができます。
自筆証書遺言については、銀行の貸金庫などに保管されていることがありますし、被相続人と親密な関係にあった人物などが預かっているケースなどもあります。
遺産分割後に遺言書が見つかった場合、すでに成立した遺産分割は無効となるのが原則であるため、遺言の調査をおろそかにしてはいけません。

弁護士にご相談ください

以上のような相続に関する調査には、非常に手間と時間がかかるものです。
特に相続人調査、相続財産調査、負債の調査については、ご自身で対応なさろうとすると、お忙しい中で膨大な時間と手間を取られるうえに、調査結果に漏れがあって正確なものではないという可能性もあります。

そこで、当事務所では、相続人となられた方が正確な調査結果に基づいて相続に関する諸手続に臨んでいただけるように、相続人調査、相続財産調査、負債の調査、公正証書遺言の有無の調査をサポートするサービスを提供させていただいております。
相続人調査、相続財産調査、負債の調査、公正証書遺言の有無の調査を弁護士にご依頼いただくことで、これらの調査にかかる手間や負担を大幅に軽減することが可能です。
また、これらの調査をしっかりと行うことによって、相続に関する諸手続の方針などを明確にすることができます。
もちろん、他の相続人に知られないように、相続人調査、相続財産調査、負債の調査、公正証書遺言の有無の調査を進めることも可能です。

相続人となられて、これから相続関係の調査を行う方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

●相続人調査・相続財産調査・負債の調査・公正証書遺言の有無の調査のご依頼について

相続に関する諸手続

相続に関する諸手続としては、主に遺産分割、相続放棄、遺留分侵害額請求があります。

遺産分割

遺産分割とは、相続人同士で被相続人の遺産を分ける手続のことを言います。
被相続人の遺言書がある場合には、遺言書の内容に従って遺産分割をするのが原則です。
被相続人の遺言書がない場合には、まずは相続人同士で遺産分割の協議(話し合い)を行います。
協議がまとまらなければ、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることになります。
遺産の規模が大きく、相続税の課税対象となる場合には、相続税の申告・納付期限(被相続人の死亡から10か月)も見据えて、迅速に遺産分割の手続を進める必要があるでしょう。

遺産分割は、相続人全員で行わなければなりません。
一部の相続人が漏れた形で遺産分割が成立したとしても、法律上、無効とされてしまいます。
また、遺産分割の成立後に新たな遺産が発見された場合には、新たに発見された遺産をめぐって再度協議を行わなければならないのが原則です。
あるいは、新たに発見された遺産の価値が大きいなど、そのような遺産があることが分かっていたら、そのような遺産分割を成立させることはなかったであろうと認められるようなケースでは、すでに成立した遺産分割が無効と判断され、また一から遺産分割をやり直さなければならないという事態もあり得ます。
したがって、相続人調査や相続財産調査は、漏れのないように正確に行う必要があります。

相続放棄

相続放棄とは、被相続人の遺産をプラス(資産)もマイナス(負債)も一切引き継がないようにするための手続のことを言います。
相続放棄は、被相続人の借金を相続したくないという場合に選択されることが多く、負債の調査を行った結果、被相続人に多額の借金があることが分かれば、相続放棄の手続を取るのがよいでしょう。
相続放棄の手続は、「相続放棄申述書」という書面を作成し、戸籍謄本類などの必要書類を添えて、家庭裁判所に提出する必要があります。
相続放棄申述書が家庭裁判所に受理されることで、被相続人の借金を引き継ぐことを免れる効力を得ることができます。

相続放棄の手続は、原則として、被相続人の死亡を知ってから3か月以内に行う必要があります。
したがって、相続財産の調査と負債の調査を迅速に進めたうえで、相続放棄の手続を取るか否かを判断する必要があります。
これらの調査に時間がかかる場合には、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間伸長の申立て」を行うことで3か月の期間を延長してもらうことができますが、何もせずに3か月が経過すると被相続人の借金をそのまま相続することになるため、注意が必要です。
また、3か月経過後に被相続人の思わぬ借金が判明した場合などには、例外的に3か月経過後の相続放棄が認められることもあり得ますが、ケースバイケースです。
基本的には、相続財産の調査と負債の調査をしっかりと行ったうえで、3か月以内に相続放棄の判断をすることが大切です。

遺留分侵害額請求

遺留分とは、一定範囲の相続人に対し、被相続人の財産のうち、一定の割合を最低限引き継ぐことを保障する制度のことを指します。
例えば、被相続人が「すべての遺産を長男に相続させる」という内容の遺言書を残している場合、被相続人の配偶者や長男以外の子は遺留分が侵害されているため、長男に対して遺留分を戻すように請求することができます。
このような請求のことを遺留分侵害額請求と言います。
遺言書による相続の指定のほか、一定の要件を満たす生前贈与や遺贈についても、遺留分侵害額請求の対象となります。

遺留分侵害額請求の手続は、原則として、被相続人の死亡および遺留分の侵害を知ってから1年以内に行わなければなりません。
また、遺留分の侵害を知らなくても、被相続人の死亡から10年が経過すれば、遺留分侵害額請求権を行使することができなくなります。
遺留分侵害額請求については、請求する側としては権利が消滅しないうちに早期に手続を取るべきであり、請求された側においても、適切に対応していくことが必要となります。

弁護士にご相談ください

以上のように、遺産分割、相続放棄、遺留分侵害額請求などの相続に関する諸手続は、限られた期間内に迅速かつ適切に進めていかなければならないのが通常です。
相続人になられた方は、できる限り早期に弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。
そして、ご自身で対応するのが困難であるとか、分からないことが多いなどの不安をお持ちであれば、手続への対応を弁護士にご依頼いただくこともご検討ください。

また、当事務所では、専門家のアドバイスを受けながら、ご自身で手続に対応したいという方に向けたサポートとして、「バックアッププラン」というサービスをご用意させていただいております。
当事務所の「バックアッププラン」は、必要に応じて弁護士に電話やメール、面談で随時ご相談いただき、アドバイスをさせていただく内容のサポートとなります。
「バックアッププラン」をご利用いただくことで、ご不明点や不安に思われる事項などを都度解消しながら、安心して手続を進めていくことが可能となります。

通常であれば、弁護士へのご相談は都度ご予約いただいた上で、ご予約の日時に事務所にお越しいただく形になるのですが、「バックアッププラン」をご利用いただくことで、弁護士に適時ご相談いただけるようになるため、より便利に弁護士相談をご活用いただくことができるでしょう。

相続人となられて、相続に関する諸手続についてご不明点がある方や、不安をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非一度、お気軽に当事務所にご相談ください。

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